Claude Code web版で開発効率を10倍にする並列実行の実践ガイド

AI

はじめに

2025年10月、Anthropicが発表したClaude Code web版は、AIを活用した開発の新しい可能性を切り開きました。その最大の特徴は「ブラウザだけで複数のコーディングタスクを同時並行で進められる」点です。

従来のAI開発支援ツールでは、1つのタスクが終わるまで次のタスクに着手できませんでした。しかしClaude Code web版では、まるで複数のエンジニアを同時に雇っているかのように、複数の作業を並列で進めることができます。

この記事では、実際にどのようにClaude Code web版を使えば開発効率を最大化できるのか、具体的な実践例とともに解説します。

Claude Code web版とは?

Claude Code web版は、ブラウザから直接利用できるAIコーディングアシスタントです。GitHubリポジトリと連携し、以下のような作業をAIに任せられます。

  • バグの修正
  • 新機能の実装
  • テストコードの作成
  • リファクタリング(既存コードの整理・改善)
  • ドキュメントの更新

重要なのは、これらの作業を同時に複数起動できるという点です。

並列実行の基本概念

並列実行とは、複数の作業を同時進行で進めることを指します。例えば料理に例えると、以下のようなイメージです。

従来の方法(逐次実行)

  1. 野菜を切る → 終わったら
  2. 肉を焼く → 終わったら
  3. ご飯を炊く → 終わったら
  4. 味噌汁を作る

合計時間:60分

並列実行の方法

  1. 野菜を切る(自分)
  2. 肉を焼く(相棒A)← 同時
  3. ご飯を炊く(相棒B)← 同時
  4. 味噌汁を作る(相棒C)← 同時

合計時間:15分

Claude Code web版では、このように複数のAIインスタンス(相棒)を同時に動かせます。

実践例1:Webアプリケーションの機能追加

あなたがEコマースサイトの開発をしているとします。今週中に以下の4つのタスクを完了させる必要があります。

タスクリスト

  • タスクA:ユーザーレビュー機能の追加
  • タスクB:商品検索機能の高速化
  • タスクC:決済処理のバグ修正
  • タスクD:管理画面のUIリニューアル

従来の方法での作業時間

1つずつ順番に進めた場合:

  • タスクA:3時間
  • タスクB:2時間
  • タスクC:1時間
  • タスクD:4時間

合計:10時間

Claude Code web版での並列実行

claude.ai/codeにアクセスし、4つのセッションを同時に開始します。

セッション1(タスクA) 「ユーザーレビュー機能を追加してください。評価は5段階、コメント欄あり、画像添付可能にしてください」

セッション2(タスクB) 「商品検索にElasticsearch(高速検索エンジン)を導入し、検索速度を改善してください」

セッション3(タスクC) 「決済処理で発生している『金額が2倍請求される』バグを特定して修正してください」

セッション4(タスクD) 「管理画面のダッシュボードをモダンなデザインに刷新してください。売上グラフとユーザー統計を見やすく表示」

4つのセッションが並列で動作するため、実質的な待ち時間は最も時間がかかるタスクDの4時間程度になります。つまり、10時間の作業が4時間に短縮されます。

並列実行中の進捗管理

各セッションでは、リアルタイムで進捗が表示されます。

  • セッション1:「レビューモデルを作成中…」
  • セッション2:「Elasticsearchの設定ファイルを構成中…」
  • セッション3:「決済処理のコードを分析中…」
  • セッション4:「ダッシュボードのコンポーネントを作成中…」

途中で方向性を変更したい場合は、各セッションに追加の指示を送ることができます。例えば、セッション1に「レビューに『役に立った』ボタンも追加してください」と追加依頼できます。

実践例2:レガシーシステムの段階的リニューアル

10年前に作られた在庫管理システムを、モダンな技術で作り直すプロジェクトを考えます。

リニューアルの課題

  • データベース構造の再設計
  • 古いライブラリの更新
  • セキュリティの脆弱性対応
  • ユーザーインターフェースの刷新
  • 既存データの移行計画

これらを1人で順番にやると数週間かかりますが、並列実行すれば大幅に短縮できます。

並列実行の戦略

第1フェーズ:調査・分析

5つのセッションを同時起動します。

  • セッション1:「現在のデータベース構造を分析し、改善点をリストアップしてください」
  • セッション2:「使用している古いライブラリを特定し、最新の代替ライブラリを提案してください」
  • セッション3:「セキュリティスキャンを実行し、発見された脆弱性を優先度順にまとめてください」
  • セッション4:「現在のUIの問題点を分析し、改善案を3つ提示してください」
  • セッション5:「既存データを新しいシステムに移行する方法を、リスクと共に提案してください」

これらの調査が並列で進むため、通常なら5日かかる作業が1日で完了します。

第2フェーズ:実装

調査結果を元に、再び並列で実装を進めます。

  • セッションA:「新しいデータベーススキーマを実装してください」
  • セッションB:「ライブラリのアップデートを段階的に実施してください」
  • セッションC:「特定されたセキュリティ問題を1つずつ修正してください」
  • セッションD:「新しいUIコンポーネントを作成してください」

情報共有の仕組み

各セッションの成果物は、GitHub上でPull Request(変更提案)として作成されます。これにより:

  • セッション間で競合(同じファイルへの変更)が発生しないよう管理できる
  • 各変更を個別にレビュー・承認できる
  • 問題があれば特定のセッションだけやり直せる

また、各セッションに「他のセッションの進捗状況を確認して、整合性を保ってください」と指示することで、チーム開発のような連携が可能になります。

実践例3:スタートアップの新規プロダクト開発

まったく新しいサービスを1週間でプロトタイプ(試作版)として完成させる必要があるケースです。

開発する機能

  • ユーザー認証システム
  • メイン機能(例:タスク管理機能)
  • 管理者ダッシュボード
  • モバイル対応
  • メール通知機能
  • 決済システム連携

並列実行の実践

Day 1:基礎部分の並列開発

朝9時に6つのセッションを一斉起動します。

  • セッション1:「Next.js(Webフレームワーク)でプロジェクトの基本構造を作成し、認証機能を実装してください」
  • セッション2:「タスク管理のバックエンドAPI(サーバー側の処理)を設計・実装してください」
  • セッション3:「タスク管理のフロントエンド(ユーザーが見る画面)を作成してください」
  • セッション4:「管理者がユーザー情報を管理できるダッシュボードを作成してください」
  • セッション5:「スマートフォンでも見やすいレスポンシブデザインを実装してください」
  • セッション6:「SendGrid(メール送信サービス)を使った通知機能を実装してください」

夕方には6つの機能が並列で完成し、統合作業に進めます。

Day 2-3:統合とテスト

新たに並列でテストを実行します。

  • セッションT1:「認証機能のユニットテスト(個別機能のテスト)を作成・実行してください」
  • セッションT2:「タスク管理のインテグレーションテスト(機能間の連携テスト)を実施してください」
  • セッションT3:「モバイル表示のブラウザテストを実行してください」

同時に、別のセッションでドキュメント作成も進めます。

  • セッションD1:「API仕様書を自動生成してください」
  • セッションD2:「ユーザーマニュアルを作成してください」

Day 4-5:改善と最適化

テスト結果を受けて、再び並列で改善します。

  • 見つかったバグを各セッションで修正
  • パフォーマンス最適化を別セッションで実行
  • UI/UXの微調整をさらに別セッションで実施

効果的な使い方のコツ

1. タスクの独立性を確認する

並列実行が効果を発揮するのは、各タスクが互いに依存していない場合です。

良い例(並列実行に向いている)

  • フロントエンドの開発とバックエンドの開発
  • 複数の独立した機能の追加
  • 異なるバグの修正

悪い例(並列実行に向いていない)

  • タスクBがタスクAの完成を待つ必要がある
  • 同じファイルを複数のタスクで編集する

2. 明確な指示を与える

各セッションには、具体的で明確な指示を与えることが重要です。

曖昧な指示 「ユーザー機能を良い感じに作ってください」

明確な指示 「ユーザーがメールアドレスとパスワードでログインできる認証機能を実装してください。パスワードは8文字以上、英数字混在必須。ログイン失敗3回でアカウントを一時ロック。ログイン状態はJWT(認証トークン)で管理してください」

3. 進捗をモニタリングする

各セッションの進捗は定期的に確認します。想定と異なる方向に進んでいる場合は、早めに軌道修正の指示を出します。

4. GitHub Issueで情報共有

複数のセッション間で情報を共有したい場合は、GitHub Issueを活用します。

例えば、「共有事項」というIssueを作成し:

  • セッション1で決定したAPI仕様をコメントで共有
  • セッション2がそのIssueを参照して開発を進める

このように、各セッションが最新情報を参照できる仕組みを作ります。

5. 「Open in CLI」で詳細調整

ブラウザでの並列実行で大まかな実装が完了したら、「Open in CLI」機能を使って、細かい調整をローカル環境で行います。これにより、クラウドでの並列実行とローカルでの精密作業のハイブリッド開発が実現します。

Claude Code web版の利点

1. 環境構築が不要

従来の並列開発では、TMUX(ターミナル分割ツール)やgit-worktree(Git管理ツール)などの専門的なツールの設定が必要でした。Claude Code web版では、ブラウザだけで完結するため、初心者でもすぐに始められます。

2. ローカルマシンのリソースを消費しない

すべての処理がAnthropicのクラウド環境で実行されるため、あなたのパソコンは重くなりません。古いノートパソコンでも、強力なサーバー並みの並列処理が可能です。

3. 視覚的な進捗管理

ブラウザ上で各セッションの状態が視覚的に表示されるため、「今どのタスクがどこまで進んでいるか」が一目で分かります。

4. 柔軟な作業スタイル

  • 朝に複数のタスクを起動
  • 昼間は別の仕事をする
  • 夕方に結果を確認して統合作業

このように、AIが作業している間に人間は別のことができます。

5. リスクの分散

1つのセッションが失敗しても、他のセッションには影響しません。各タスクが独立しているため、リスクを分散できます。

6. 学習効率の向上

複数のセッションで異なるアプローチを試すことで、「どの方法が最適か」を比較検証できます。例えば:

  • セッション1:React(UIライブラリ)で実装
  • セッション2:Vue(別のUIライブラリ)で実装
  • セッション3:Svelte(さらに別のライブラリ)で実装

それぞれの結果を比較して、プロジェクトに最適な技術を選択できます。

7. コストパフォーマンス

月額20ドル(Proプラン)で無制限に並列実行できるため、人件費と比較すると圧倒的に経済的です。1人のエンジニアを雇うコストで、複数のAIアシスタントを並列で動かせます。

実際の開発での時間短縮効果

ケーススタディ:中規模Webアプリケーションの開発

プロジェクト概要

  • 要件:予約管理システム
  • 機能数:15個
  • 通常の開発期間:8週間

並列実行での実績

  • 第1週:基本機能5個を並列実装(通常なら3週間)
  • 第2週:応用機能5個を並列実装(通常なら3週間)
  • 第3週:管理機能5個を並列実装(通常なら2週間)
  • 第4週:統合・テスト・調整

結果:8週間の作業を4週間に短縮(50%削減)

この事例からわかるように、並列実行は特に複数の独立した機能を持つプロジェクトで大きな効果を発揮します。

注意点と制限事項

1. レートリミット(利用制限)

Proプランでは、5時間ごとに約10-40回のプロンプト(指示)制限があります。大規模プロジェクトで多数のセッションを長時間動かす場合は、Maxプランへのアップグレードを検討してください。

2. 統合作業は人間が行う

各セッションで作成されたコードは、最終的に人間が統合・確認する必要があります。AIは完璧ではないため、レビューは必須です。

3. 複雑な依存関係には不向き

タスク間に複雑な依存関係がある場合、並列実行は効率が落ちます。依存関係を整理し、できるだけ独立したタスクに分割することが重要です。

4. セキュリティとプライバシー

GitHubリポジトリへのアクセス権限を適切に管理してください。機密性の高いプロジェクトでは、アクセス可能なリポジトリを限定することを推奨します。

まとめ

Claude Code web版の並列実行機能は、開発効率を劇的に向上させる強力なツールです。特に以下のような状況で大きな効果を発揮します。

  • 複数の独立した機能を同時に開発したい
  • 短期間で多くのタスクを完了させる必要がある
  • 少人数のチームで大規模プロジェクトに取り組んでいる
  • スタートアップで素早くプロトタイプを作りたい

従来は複雑な環境構築が必要だった並列開発が、ブラウザだけで実現できるようになりました。この革新的な機能を活用することで、あなたの開発スピードは確実に加速します。

まずは小さなプロジェクトで2〜3個のタスクを並列実行してみてください。その効果を実感できれば、より大規模な開発でも自信を持って活用できるはずです。

参考リンク


この記事があなたの開発効率向上の一助となれば幸いです。

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