はじめに:私が体験した「Claudeチャット版」の致命的な失敗
ある日、私は重要な事業計画書をClaude(チャット版)で評価してもらおうとしました。
私がやったこと:
- プロジェクトに6つのMarkdownファイルを添付(事業計画書、技術仕様書など)
- プロジェクトの「カスタム指示」で明確にルールを設定:
- 「プロジェクトファイルを全て読んでから評価する」
- 「全て調査して回答しろ」
- 「裏を取れ」
- 「ソースのURLを付けろ」
- 「存在しない情報について言及しない」
- 「デビルズアドボケートモードで事業計画書を評価して」と依頼
結果:
- ❌ プロジェクトファイルを読まなかった
- ❌ カスタム指示を完全に無視
- ❌ 存在しないサービスを勝手に作り出して「このサービスには重大な欠点があります」と批判
- ❌ 調査もせず、根拠のない指摘を列挙
私の疑問: 「なぜプロジェクト設定を無視するのか?なぜファイルを読まないのか?」
重要な発見:Claude Codeなら防げた(ただしCLI版限定)
その後、Claudeに「なぜこんなことが起きるのか」を聞いたところ、こう答えました:
「Claude Code(CLI版)を使っていたら、この失敗を防げた可能性が高い」
しかし、ここで重要な注意点があります:
⚠️ Web版のClaude Codeは、ビジネス文書の評価には向いていません。
CLI版とWeb版、どちらを使うべきか?
結論:ビジネス文書の評価なら「CLI版」一択
| 用途 | CLI版 | Web版 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 事業計画書の評価 | ✅ 最適 | ❌ 不向き | Web版はコーディング特化 |
| 技術仕様書のレビュー | ✅ 最適 | ❌ 不向き | 議論しながら詰める必要がある |
| 市場分析の妥当性チェック | ✅ 最適 | ❌ 不向き | 対話的な確認が必要 |
| 財務計画の精査 | ✅ 最適 | ❌ 不向き | 細かい数値の確認が必要 |
| プレゼン資料の改善提案 | ✅ 最適 | ❌ 不向き | 議論しながら改善したい |
なぜWeb版は「ビジネス文書の評価」に向かないのか?
理由1:GitHubリポジトリが前提
Web版の制約:
- GitHubリポジトリに接続することが前提
- ビジネス文書をGitHubに上げるのは現実的でない(機密情報の問題)
- Word、Excel、PowerPointなどは直接扱えない
CLI版の利点:
- ローカルの任意のディレクトリで動作
- Markdown、Word、Excel、PowerPointなど、様々な形式を扱える
- 機密情報をローカルに保ったまま作業可能
理由2:クラウドサンドボックスで実行される
Web版の制約:
- Anthropicが管理するクラウド環境で実行
- ビジネス文書をクラウドにアップロードする必要がある
- セキュリティ・コンプライアンス上の懸念
CLI版の利点:
- 完全にローカルで実行
- 機密情報が外部に出ない
- 企業のセキュリティポリシーに準拠しやすい
理由3:主にコーディングタスク向けに最適化
Web版の設計思想:
- バグ修正のバックログ処理
- 定型的なリファクタリング
- 複数タスクの並列実行
→ 「作業を丸投げして結果だけ確認」する用途
ビジネス文書評価の特性:
- 対話しながら詰める
- 細かい確認を繰り返す
- 議論しながら改善する
→ Web版の設計思想と合わない
理由4:文書作成・議論には向かない
Web版の制約:
- 公式ドキュメントでも「CLI版やIDEプラグインを入れ替えるものではなく、補完する位置付け」と明記
- 長文の文書作成、ビジネス分析、議論しながら詰める作業には不向き
CLI版の利点:
- 対話的な作業に最適
- ファイルを直接編集しながら議論できる
- PDFやWordファイルも作成可能
出典: 安全なクラウド上の「Claude Code」をブラウザから利用できる「Claude Code on the web」が登場
なぜClaude Code(CLI版)なら失敗を防げたのか?
理由1:CLAUDE.mdを自動で読み込む
Claude Code(CLI版)は、プロジェクトルートに置いたCLAUDE.mdファイルを起動時に必ず読み込みます。
チャット版の問題:
- プロジェクトのカスタム指示は「理論上は読まれる」が、実際には優先度が低い
- 会話の途中で無視される場合がある
- 抽象的な指示(「デビルズアドボケート」など)は誤解される
Claude Code(CLI版)の解決策:
# CLAUDE.md(プロジェクトルートに配置)
## 評価の必須条件
1. **プロジェクトファイルを全て読んでから回答する**
- 事業計画書.md
- 技術仕様書.md
- 市場分析.md
- 財務計画.md
- (以下省略)
2. **全ての指摘にソースURLを付ける**(web_search使用時)
3. **推測の場合は「(推測)」と明記する**
4. **存在しない情報について言及しない**
## 評価の視点
1. 市場分析の妥当性
- 市場規模の根拠は明確か?
- 競合分析は十分か?
2. 収益計画の実現可能性
- 売上予測は現実的か?
- コスト構造は妥当か?
3. リスク要因の見落とし
- 想定されるリスクは全て列挙されているか?
このファイルを置いておけば、Claude Code(CLI版)は毎回必ず読み込んで、ルールに従って評価します。
理由2:プロジェクトファイルを自動で理解しようとする設計
Claude Code(CLI版)は、プロジェクト全体を理解することを前提に設計されています。
チャット版の問題:
- ファイルが多い(6つ以上)と読まない場合がある
- 会話の冒頭で「これらのファイルを読んでから回答して」と明示しない限り、読まない
Claude Code(CLI版)の解決策:
- プロジェクトルートで起動すると、自動的にファイル構造を把握
- CLAUDE.mdに「これらのファイルを読め」と書いておけば、必ず読む
- サブディレクトリのCLAUDE.mdも自動で読み込む(Lazy-Load)
理由3:「デビルズアドボケート」のような抽象的な指示を具体化できる
チャット版の問題: 「デビルズアドボケートモードで評価して」という抽象的な指示は、AIにとって曖昧です。
Claude Code(CLI版)の解決策: CLAUDE.mdに、具体的な評価項目を列挙しておけば、誤解の余地がありません。
## 評価の視点(デビルズアドボケート)
### 1. 市場分析の妥当性
- 市場規模は信頼できるソースに基づいているか?
- 競合との差別化は明確か?
- ターゲット顧客は具体的か?
- **指摘する場合は、必ず代替案を提示する**
### 2. 収益計画の実現可能性
- 売上予測は楽観的すぎないか?
- コスト構造は現実的か?
- 利益率は業界平均と比較してどうか?
- **指摘する場合は、具体的な数値の根拠を示す**
### 3. リスク要因の見落とし
- 市場リスクは十分に考慮されているか?
- 技術的リスクは?
- 競合の反応は?
- **指摘する場合は、対策案も提示する**
## 出力形式
### 問題点
- ○○が不足している(根拠:ソースURL)
### 改善案
- ○○すべき(理由:△△)
実際の使い方:事業計画書を評価する場合(CLI版)
Step 1: プロジェクト構造を作る
project-root/
├── CLAUDE.md ← ルールを定義
├── 事業計画書.md
├── 技術仕様書.md
├── 市場分析.md
├── 財務計画.md
└── その他の資料/
Step 2: CLAUDE.mdを書く
# プロジェクトルール
## 評価の必須条件
1. **プロジェクトファイルを全て読んでから回答する**
- 事業計画書.md
- 技術仕様書.md
- 市場分析.md
- 財務計画.md
2. **全ての指摘にソースURLを付ける**(web_search使用時)
3. **推測の場合は「(推測)」と明記する**
4. **存在しない情報について言及しない**
5. **指摘する場合は、必ず改善案も提示する**
## 評価の視点
1. 市場分析の妥当性
- 市場規模の根拠は明確か?
- 競合分析は十分か?
- ターゲット顧客は具体的か?
2. 収益計画の実現可能性
- 売上予測は現実的か?
- コスト構造は妥当か?
- 利益率は業界平均と比較してどうか?
3. リスク要因の見落とし
- 想定されるリスクは全て列挙されているか?
- 対策は具体的か?
## 出力形式
各視点ごとに以下の形式で評価してください:
### 1. 市場分析の妥当性
#### 問題点
- ○○が不足している(根拠:ソースURL)
#### 改善案
- ○○すべき(理由:△△)
Step 3: Claude Code(CLI版)を起動
# プロジェクトルートで起動
cd /path/to/project-root
claude
# または
code . # VS Codeで開いてから、Claude Code拡張を使う
Step 4: 評価を依頼
【プロンプト例】
CLAUDE.mdに記載されたルールに従って、
事業計画書を評価してください。
全てのファイルを読んでから評価を開始してください。
結果:
- ✅ CLAUDE.mdを自動で読み込む
- ✅ プロジェクトファイルを全て読む
- ✅ ルールに従って評価
- ✅ 存在しない情報については言及しない
- ✅ 改善案も提示
他のビジネスシーンへの応用
応用1:技術仕様書のレビュー
CLAUDE.mdの例:
## 評価の視点
1. 技術選定の妥当性
- 選定理由は明確か?
- 他の選択肢との比較は?
- 最新の技術動向を反映しているか?
2. セキュリティ対策
- 一般的な脆弱性への対策は?
- 認証・認可の仕組みは適切か?
- データ暗号化は考慮されているか?
3. スケーラビリティ
- 負荷増加時の対応は?
- ボトルネックになる箇所はないか?
応用2:プレゼン資料の改善提案
CLAUDE.mdの例:
## 評価の視点
1. ストーリーの流れ
- 論理の流れは自然か?
- 結論が明確か?
- 聞き手の疑問に答えているか?
2. スライドのデザイン
- 1スライド1メッセージか?
- 文字が多すぎないか?
- グラフ・図は効果的か?
3. データの根拠
- 数値の出典は明記されているか?
- グラフの軸は適切か?
応用3:契約書のチェック
CLAUDE.mdの例:
## 評価の視点
1. 契約条件の妥当性
- 一方的に不利な条項はないか?
- 解約条件は明確か?
- 損害賠償の範囲は適切か?
2. 曖昧な表現のチェック
- 解釈が分かれる表現はないか?
- 具体的な数値・期限が明記されているか?
3. リスク要因
- 想定されるトラブルへの対策は?
- 紛争解決の方法は明記されているか?
応用4:市場調査レポートの評価
CLAUDE.mdの例:
## 評価の視点
1. データの信頼性
- 出典は信頼できるか?
- サンプル数は十分か?
- 調査時期は適切か?
2. 分析の妥当性
- 結論は データに基づいているか?
- 他の解釈の可能性は?
- バイアスはないか?
3. 提言の実現可能性
- 提言は具体的か?
- 実行可能か?
- コスト・期間は現実的か?
応用5:採用面接の評価基準作成
CLAUDE.mdの例:
## 評価の視点
1. 評価基準の明確性
- 各項目の評価基準は具体的か?
- 主観的な評価になっていないか?
- スコアリングの基準は明確か?
2. 公平性
- バイアスがかかる項目はないか?
- 多様性を考慮しているか?
- 法的な問題はないか?
3. 実効性
- 短時間で評価可能か?
- 面接官による差が出にくいか?
CLI版 vs チャット版 vs Web版:使い分けの決定版
チャット版が向いている場合
✅ カジュアルな相談・雑談
- 「このアイデアどう思う?」
- 「こんな感じの文章を書いて」
- ファイルが1〜2個で、ルールも単純
❌ 向かない場合
- プロジェクトファイルが多い(6個以上)
- 厳密なルールに従ってほしい
- 「デビルズアドボケート」などの抽象的な指示
CLI版が向いている場合
✅ ビジネス文書の評価・レビュー
- 事業計画書、技術仕様書、契約書など
- 厳密なルール(CLAUDE.md)に従ってほしい
- 対話しながら詰めたい
- 機密情報を扱う
✅ コードレビュー、デバッグ
- 細かい確認を繰り返す
- ローカル環境でのテスト
❌ 向かない場合
- 複数タスクを並行実行したい
- 環境構築が面倒
Web版が向いている場合
✅ コーディングの丸投げタスク
- バグ修正のバックログ処理
- 定型的なリファクタリング
- 複数タスクの並列実行
❌ 向かない場合
- ビジネス文書の評価・レビュー
- 機密情報を扱う
- 対話しながら詰めたい
- GitHubを使わない
まとめ:ビジネス文書の評価なら「CLI版」一択
なぜCLI版が最適なのか?
- CLAUDE.mdを自動で読み込む
- ルールを毎回守ってくれる
- 抽象的な指示を具体化できる
- プロジェクトファイルを全て読む
- 6つ以上のファイルでも対応
- サブディレクトリのCLAUDE.mdも読む
- ローカルで完結
- 機密情報が外部に出ない
- セキュリティ・コンプライアンスに準拠
- 対話的な作業に最適
- 議論しながら詰められる
- 細かい確認を繰り返せる
- 様々な形式に対応
- Markdown、Word、Excel、PowerPointなど
Web版がビジネス文書に向かない理由(再確認)
- GitHubリポジトリが前提
- ビジネス文書をGitHubに上げるのは現実的でない
- クラウドサンドボックスで実行
- 機密情報の取り扱いに懸念
- コーディングタスク向けに最適化
- 「丸投げ」用途に特化
- 対話的な作業には不向き
- 文書作成・議論には向かない
- 公式ドキュメントでも「補完する位置付け」と明記
黄金ルール
ビジネス文書の評価・レビューは、必ずCLI版を使う。
- 事業計画書、技術仕様書、契約書、プレゼン資料…
- 厳密なルールに従ってほしい場合
- 機密情報を扱う場合
- 対話しながら詰めたい場合
→ CLI版 + CLAUDE.mdが最強
おわりに
私が体験した「Claudeチャット版の失敗」は、Claude Code(CLI版)+ CLAUDE.mdで完全に防げた可能性が高いです。
なぜなら:
- CLAUDE.mdを自動で読み込むから、ルールを守る
- プロジェクトファイルを全て読んでから評価するから、見落としがない
- 抽象的な指示を具体化できるから、誤解が生まれない
- 存在しない情報について言及しないから、ハルシネーションを防げる
重要なのは:
- Web版は「コーディングの丸投げ」専用
- ビジネス文書の評価には、CLI版を使う
この使い分けを間違えると、私のような失敗を繰り返すことになります。
ぜひ、あなたのビジネスシーンでも、Claude Code(CLI版)+ CLAUDE.mdを活用してください。
執筆日: 2025年11月9日
最終更新: 2025年11月9日
出典:
- Claude Code メモリ運用の教科書
- Claude Codeのメモリを管理する – Claude Docs
- 安全なクラウド上の「Claude Code」をブラウザから利用できる「Claude Code on the web」が登場


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